角川グループホールディングスが、テレビ放映されたアニメ番組の動画投稿共有サイトYouTubeへの投稿を部分的に容認することが5月26日付の日本経済新聞の報道で明らかになった。
テレビ放映後に投稿される数分程度の番組映像切り出しや、自社の複数番組を組み合わされたオリジナル投稿動画(マッドビデオ)を容認し、それに商業広告を組み合わせて収益化する。広告からあがった収益は角川、YouTube、動画投稿者の3者で分配される。
日経新聞によれば、角川が許可するのはDVD発売前の自社作品からの映像切り出し、マッドビデオである。長時間に及ぶものやDVD発売後の作品、実写作品、悪意が含まれている場合の利用は認められないという。
角川グループのアニメコンテンツには、『涼宮ハルヒの憂鬱』、『らき☆すた』などの人気コンテンツが多い。そのコンテンツは、YouTubeではトップクラスの人気を誇っているとされる。
そうした状況のなか角川グループはこれまで、動画投稿共有サイトの効用について積極的に評価す横浜でアフリカン・フェア開催=ジェトロる発言を繰り返し述べてきた。一方で、単純な著作権侵害は認められないともしており、両者の線引きに曖昧さが残っていた。
今回角川グループは、YouTube上でその線引きを明確にし、さらにこれまではグレーゾーンとされてきた部分を収益化し、投稿者とWin-Winの関係が築く。またテレビ放送、映像パッケージの発売に加えて、新しいビジネスオプションが加わることになる。
さらに今回特に注目されるのは、マッドビデオと呼ばれるファンが独自に番組映像を編集し直した映像作品を認めることである。マッドビデオは国内外のファンに人気が高いことに加えて、オリジル作品のビジネスと競合しない、宣伝効果があるとする意見が多い。このため著作権侵害を行っているにも関わらず、業界関係者やクリエイターのなかでも、容認する意識が強かった。
これらはこれまではグレーゾーンあるいは黙認とされてきた。今回は映像作品だけではあるが、二次創作作品を大手権利保有者が公に認めることになる。新しいビジネスの仕組みと同様に、こちらのほうも大きな事件と言える。
こうしたシステムが、国内最大の二次創作市場である同人誌マンガや小説などテキスト作品に応用出来るかは分からない。しかし、手塚プロダクションが、独自サイト内でイラストやマンガなどの二次創作を奨励している例もある。わずかではあるが、二次創作を容認する新たな流れが生まれつつある。
テキスト作品、さらにコスプレによるキャラクター表現も含めて、今後、一部の二次創作活動が、公けに認められる新しいシステムが生まれる可能性も感じさせる。
出典:アニメ!アニメ!Anime Anime