ハモすき鍋が食べたい
300年の歴史に舌鼓!
ハモの季節がやってきた。湯引き、天ぷらと料理法はさまざまだが、ここ淡路島は何といっても「ハモすき鍋」になる。沼島(ぬしま)沖で捕れるハモに甘いタマネギを加え、最後は淡路そうめんで締める。いずれも地元素材の3点セットを求め南あわじ市を巡った。グルメ以外でも天体観測が楽しめるなど、初夏の淡路島は心地いい。
先達の食への知恵に脱帽
ハモ料理の歴史は約300年前にさかのぼる。淡路島の南東に浮かぶ沼島。その沖で捕れるハモが良質で、ハモすき鍋の発祥地といわれる。
ハモ漁は5月下旬から8月下旬ごろまで「はえ縄漁法」で行われる。食べごろは体長70~80センチ、700グラム~1キロ前後。船は南あわじ市の福良(ふくら)港から午後1時ごろ出て、翌午前3時すぎに戻ってくる。競りは午前9時ごろから始まる。
ハモすき鍋に欠かせないのがタマネギ。品種は6月から収穫される「もみじ3号」が大半で、糖度が高いのが特長だという。だが、すでに早生のタマネギを収穫していると聞いて、淡路島の中央部にある「淡路島牧場」を訪れた。
ここは牛が放牧されていて、乳しぼりや牛乳の生産過程の見学ができる。そのほかに、タマネギやジャガイモなどの収穫体験もできる。タマネギ掘りにひと汗流したが、土は軟らかく力を必要としない。
「京阪神の小中学生がたくさん来られますが、タマネギが土の中でできることを知らない子がとても多いんです。みんな掘り出しては驚いています」(牧場課長の山田和弘さん)
山田さんは採れたばかりのタマネギをむいて「さあ食べてみてください」。恐る恐る口に入れて見ると…甘い。糖度が高いのが実感できる。豊かな土壌と温暖な気候のたまものだ。
最後は淡路そうめん。約100年の歴史を持つ「楓(かえで)勇吉商店」で案内をしてくれたのは、社長の楓俊樹さん(55)。初代勇吉さんは祖父にあたる。
「淡路島そうめんの特長は添加物は使わず、自然の原料で作ることです。小麦粉、塩、水だけです。工程も熟成に36時間もかける昔ながらのもの。手作りの味ですね」
超細から太めまで3種類あるが、熟成期間を長くすればするほど腰が強くなり風味を増すという。
さて以上の3点セットがそろったところで、ハモすき鍋を「休暇村南淡路」でいただく。訪れたのは5月上旬。「まだ脂の乗りがイマイチ。6月後半ぐらいが一番」と料理長は言うが…。
ハモの骨でとっただしでまずタマネギ、ゴボウなどの野菜を煮込み、続いてハモを入れる。真っ白になった身が口の中でとろける。タマネギも生で食べた時より、より一層甘さを増している。
最後に、鍋に残った食材をすべて取り出し超細のそうめんで仕上げる。だしがほどよくしみこんでいて、歯ごたえもいい。
先達の食への知恵に脱帽。
意外!?甘くて柔らか~いビワも人気です
淡路島のビワが人気ブランドとは意外に思うかもしれない。明治30年ごろ、「田中ビワ」と呼ばれる改良種が栽培されたことが始まりだそうだ。
丸本之一さん(49)が南あわじ市で営む民宿「おれんじ荘」は、夏のハモ料理とビワ狩りが人気だ。「鹿がビワの木の皮を食べ、イノシシが実を食べてしまう。管理が大変ですよ」と苦笑する。
大粒で糖度が高く、柔らかい果肉。これら人気のビワができるのは斜面で栽培されるため、水はけがよく日光の恵みが適度だから。価格は2キロ(24個入り)4000円程度。
訪れた時、約80本のビワの実はまだ青く油紙で害虫から守られていた。実が熟れるのは間もなくだ。
「成熟時期の予測が難しく、実って風で落ちてしまったり…。来園されるときは前もってご連絡ください」
美しさに感動…天体観測いかが?
休暇村南淡路で人気を呼んでいるのが、昨年3月にオープンした天文台だ。
1階が星座解説室で、天体観測室は3階にある。天体観測ファンが目を輝かせるのが口径400ミリの反射望遠鏡。淡路島の公開望遠鏡では最大だという。
延長接眼装置が取り付けられていて、子供から大人まで楽な体勢で星を眺めることができる。6人のスタッフが交代で星座解説や観測操作にあたっている。
現在、クッキリ観測できる惑星は土星。「リングまで確認することができて、みなさん“すごい、きれい”と喜ばれます。5月いっぱいは十分見ることができますよ」と係員。
午後8時からおよそ1時間で、対象者は宿泊者だけになる。
出典:スポーツニッポン大阪