エゾシカ肉と地元農産物を生かした新しいご当地グルメが誕生――。上川管内の南富良野町で15日から、町内10店舗で「なんぷエゾカツカレー」の提供が始まった。地産地消で地域の魅力を発信すると同時に、エゾシカ肉のブランド価値向上が狙いだ。エゾシカの農業被害が深刻化するなか、食肉としての利用拡大は駆除の促進につながるものと期待される。
エゾカツカレーは、5ミリ厚に薄く延ばしたエゾシカ肉のカツレツを使うのが特徴。食べやすく上品な味わいだ。肉は町内のエゾシカ解体処理施設で、道が作成した衛生マニュアルに則して処理したもので、安全・安心。
カレーの具材はもちろん、漬物や茶も町内産にこだわる。参加店舗は、これらの食材や価格(一律950円)など8つの条件を守って提供する。
提供開始に先立つ14日、町保健福祉センターで発表会が開かれた。同町商工会や飲食店関係者ら約70人が出席。参加店舗がメニュー化の協定に調印した。「旅籠や・れすとらん なんぷてい」店主で、なんぷエゾカツカレー推進協議会の川村勝彦会長は「エゾシカを活用したまち興しで、全国に向けて『なんぷブランド』を発信していきたい」と強調した。
上川管内では、既に富良野市のオムカレーや美瑛町のカレーうどんが、人気のご当地グルメとして定着している。
オムカレーを仕掛けた富良野市の「食のトライアングル(農・商・消)研究会」の松野健吾事務局長は「地域間連帯でカレーアイランド北海道として、一緒に盛り上げていきたい」とエールを送る。
6月には北海道洞爺湖サミット(G8)にちなみ、富良野市や南富良野町など道内7地域が連携し、「北海道カレーサミット(C7)」を旭川で開く予定だ。
出典:日本農業新聞