「北見塩やきそば」家庭でも 「ソース」製品化 27日から発売
北見の新名物として売り出し中の「オホーツク北見塩やきそば」用ソースが二十七日から全道で順次、発売される。塩やきそばを提供する店などで構成する推進協議会の了解を得て、ブルドックソース(東京)が製品化した。
塩やきそばは、定番のキャベツと豚肉の代わりに、いずれも北見特産のタマネギとホタテを使い、ホタテの煮汁をベースにした特製の塩だれで味付けするのが特徴。旅行雑誌「北海道じゃらん」のヒロ中田編集長の提案を受け、推進協が調理する際のルールをつくり、昨年四月から同市内の飲食店で提供している。
ソースは、推進協が開発した塩だれをほぼ忠実に再現しており、白っぽい色合い。「評判がよければ全国展開したい」(同社)という。ソースは三百グラム入りで、税抜き希望小売価格三百円。コープさっぽろ各店などで扱う。問い合わせはブルドックソース札幌支店(電)011・861・6307へ。
出典:北海道新聞
2008年2月25日月曜日
関空、スプリングフェスタと恒例の旅博を開催-カジノや各種セミナーなど
関空、スプリングフェスタと恒例の旅博を開催-カジノや各種セミナーなど
関西国際空港は3月14日から4月6日まで、「関空スプリングフェスタ2008」を実施する。期間中は関空展示ホール・Sky Viewでは期間中、A380を始めとするエアバス社の旅客機にまつわる展示やグッズ販売などのエアバスフェアや、関空と1日10往復を結ぶ沖縄の写真展示と特産品が販売される沖縄フェアを開催するほか、3月22日、23日には「航空お宝&ジャンク市」を実施し、各航空会社から提供された品物を販売する。
さらに、空港内各所では毎年恒例の関空旅博を22日と23日の2日間開催。南北のイベント広場で41の国と地域が旅行情報や世界のグルメなどに分かれて114のブースを出展するほか、関西空港会議場では旅の専門家が世界各地の魅力を紹介、22日には鉄道旅行に詳しい関口知宏氏によるセミナー公演を行なう。また、ステージ上では、各国の伝統舞踊やコンサートの上演、エアロプラザ2階の水の広場ではカジノのルールやマナーを体験して学ぶ「カジノセミナー」などを開催する。詳細は下記の通り。
出典:トラベルビジョン
関西国際空港は3月14日から4月6日まで、「関空スプリングフェスタ2008」を実施する。期間中は関空展示ホール・Sky Viewでは期間中、A380を始めとするエアバス社の旅客機にまつわる展示やグッズ販売などのエアバスフェアや、関空と1日10往復を結ぶ沖縄の写真展示と特産品が販売される沖縄フェアを開催するほか、3月22日、23日には「航空お宝&ジャンク市」を実施し、各航空会社から提供された品物を販売する。
さらに、空港内各所では毎年恒例の関空旅博を22日と23日の2日間開催。南北のイベント広場で41の国と地域が旅行情報や世界のグルメなどに分かれて114のブースを出展するほか、関西空港会議場では旅の専門家が世界各地の魅力を紹介、22日には鉄道旅行に詳しい関口知宏氏によるセミナー公演を行なう。また、ステージ上では、各国の伝統舞踊やコンサートの上演、エアロプラザ2階の水の広場ではカジノのルールやマナーを体験して学ぶ「カジノセミナー」などを開催する。詳細は下記の通り。
出典:トラベルビジョン
お役所で出会うご当地味──公共施設の食堂巡り
お役所で出会うご当地味──公共施設の食堂巡り
知らない土地でもし食事の場所に困ったら、一度役所や公共施設の食堂に入ってみてはいかがだろう。魅力は学生食堂同様の気軽さと安さだけではない。その土地の味や優れた眺望など様々な楽しみがある。
関西で他府県に出かけたら、ご当地グルメを味わおう。手っ取り早いのが、県や市など役所の食堂。道順を尋ねれば誰もが知っているから、迷うこともない。
奈良県の荒井正吾知事の発案で、県庁食堂に昨秋登場したのが「大和肉鶏親子丼」(650円)。近隣の飲食店でも「大和肉鶏照り焼き丼」などのメニューを見かけるが、親子丼は珍しい。地鶏だけでなく卵や米、しょうゆまで地元産にこだわった一品だ。
「何度か試食し、そのたびに注文を付けた。おいしくできたね」と荒井知事は満足そう。注文に応えた同食堂の上田充利主任は「地鶏特有の歯応えを生かしつつ、柔らかさも出した」と話す。
滋賀県庁の食堂「かいつぶり」にも、昨年夏に新メニューが加わった。琵琶湖の生態系に影響を与える外来魚のブラックバスを使った料理(260―300円)だ。「味に少し癖のあるスズキと思えばいい。うまく調理すればおいしい。ブラックバスを食べ尽くそうという趣旨」(同食堂)。週替わりでムニエル、ピカタなど様々な調理法を試していくという。
兵庫県庁の食堂「のじぎく」にも人気のご当地グルメがある。その名も「ぼっかけ丼」(680円)。牛すじ、こんにゃくなどを甘辛く煮た「ぼっかけ」は神戸市長田区の名物。うどんやお好み焼きが定番だが、ここではご飯にぼっかけと温泉卵がのる。
京都府舞鶴市役所の食堂「ニュー567(ごろな)」では、地元特産の牡蠣(かき)を入れた「舞鶴かき丼」(850円)が人気を集めている。「味付けは牡蠣を入れた親子丼といった感じ」(同食堂)。季節メニューで3月末ごろまで食べられる。
高層庁舎を持ち、展望レストランを一般開放している役所もある。有名なのは神戸市役所の展望レストランだが、穴場は大阪府東大阪市役所。22階の「オールウェイズ」は生駒山などが見渡せる絶好の立地で、夜間も営業しているため夜景も楽しめる。
瀬戸内海に臨む兵庫県明石市役所の「シーフード浦活(うらかつ)」も明石海峡を見渡せる眺望と明石タコやアナゴなどの料理で人気が高い。
美術館など公共施設にも人気店や人気料理が少なくない。定番と言えるのが、大阪市役所近くの大阪市中央公会堂にある中之島倶楽部のオムライス(680円)。ランチタイム200食限定で、行列ができる。
同じ中之島にある国立国際美術館には、著名なフランス料理シェフの石鍋裕氏がプロデュースするレストラン「クイーン・アリス アクア」もある。美術館の館外からも気軽に入れてお勧めだ。
出典:日経ネット関西版
知らない土地でもし食事の場所に困ったら、一度役所や公共施設の食堂に入ってみてはいかがだろう。魅力は学生食堂同様の気軽さと安さだけではない。その土地の味や優れた眺望など様々な楽しみがある。
関西で他府県に出かけたら、ご当地グルメを味わおう。手っ取り早いのが、県や市など役所の食堂。道順を尋ねれば誰もが知っているから、迷うこともない。
奈良県の荒井正吾知事の発案で、県庁食堂に昨秋登場したのが「大和肉鶏親子丼」(650円)。近隣の飲食店でも「大和肉鶏照り焼き丼」などのメニューを見かけるが、親子丼は珍しい。地鶏だけでなく卵や米、しょうゆまで地元産にこだわった一品だ。
「何度か試食し、そのたびに注文を付けた。おいしくできたね」と荒井知事は満足そう。注文に応えた同食堂の上田充利主任は「地鶏特有の歯応えを生かしつつ、柔らかさも出した」と話す。
滋賀県庁の食堂「かいつぶり」にも、昨年夏に新メニューが加わった。琵琶湖の生態系に影響を与える外来魚のブラックバスを使った料理(260―300円)だ。「味に少し癖のあるスズキと思えばいい。うまく調理すればおいしい。ブラックバスを食べ尽くそうという趣旨」(同食堂)。週替わりでムニエル、ピカタなど様々な調理法を試していくという。
兵庫県庁の食堂「のじぎく」にも人気のご当地グルメがある。その名も「ぼっかけ丼」(680円)。牛すじ、こんにゃくなどを甘辛く煮た「ぼっかけ」は神戸市長田区の名物。うどんやお好み焼きが定番だが、ここではご飯にぼっかけと温泉卵がのる。
京都府舞鶴市役所の食堂「ニュー567(ごろな)」では、地元特産の牡蠣(かき)を入れた「舞鶴かき丼」(850円)が人気を集めている。「味付けは牡蠣を入れた親子丼といった感じ」(同食堂)。季節メニューで3月末ごろまで食べられる。
高層庁舎を持ち、展望レストランを一般開放している役所もある。有名なのは神戸市役所の展望レストランだが、穴場は大阪府東大阪市役所。22階の「オールウェイズ」は生駒山などが見渡せる絶好の立地で、夜間も営業しているため夜景も楽しめる。
瀬戸内海に臨む兵庫県明石市役所の「シーフード浦活(うらかつ)」も明石海峡を見渡せる眺望と明石タコやアナゴなどの料理で人気が高い。
美術館など公共施設にも人気店や人気料理が少なくない。定番と言えるのが、大阪市役所近くの大阪市中央公会堂にある中之島倶楽部のオムライス(680円)。ランチタイム200食限定で、行列ができる。
同じ中之島にある国立国際美術館には、著名なフランス料理シェフの石鍋裕氏がプロデュースするレストラン「クイーン・アリス アクア」もある。美術館の館外からも気軽に入れてお勧めだ。
出典:日経ネット関西版
“厄介者”がグルメに変身 あのエチゼンクラゲが…
“厄介者”がグルメに変身 あのエチゼンクラゲが…
ブラックバスにブルーギル、エチゼンクラゲにエゾシカ…。個体数が増え、漁業や農業に悪影響を及ぼす有害な生き物を、食材として活用する取り組みが各地で広がっている。メニューはハンバーガーなどファストフードから、本格フレンチのジビエ料理まで。気になる味も好評のようだ。
ハンバーガー
ため池などで繁殖し生態系を脅かしている外来魚のブラックバスやブルーギルをハンバーガーにしたのは、福井大教育地域科学部准教授の保科英人さん(35)。
専門は昆虫学。里山環境保全の一環として、平成16年から県内のため池に生息する外来魚の分布を調査し、これまでに調べた約300カ所のうち25%の池で外来魚が生息しているのを確認した。
捕った外来魚が利益になれば、漁業者も駆除しやすいだろうと、商品化を思いついたという。
パテにはブラックバスとブルーギルの魚肉を7割と牛肉のミンチを3割使用。トマトとレタスをパンで挟み、「環境」を意識して「エコバーガー」と名付けた。昨年12月、学内の生協で1個150円で売り出すと、8日間で110個を完売。保科さんは「ブラックバスやブルーギルは、キスやスズキのようにクセがなく、普通においしい」とアピールする。
アイスクリーム
日本海沿岸の定置網に入り込み、水揚げされた魚を傷つけるエチゼンクラゲを具材にしたアイスクリームも人気だ。
販売しているのは、乳製品会社「丹後ジャージー牧場」(京都府京丹後市)。平成18年秋に京都府唯一の水族館「丹後 魚知(うおち)館」の吉田史子館長が「エチゼンクラゲを食べて退治できないか」と提案し、同社が商品開発に乗り出した。
「とにかく生臭さを取り除くのが大変でした」と同社の平林文子さん(59)。酢や日本酒、シロップにつ
けても臭みがとれず、試行錯誤の末、牛乳につけてにおいを消すことに成功した。
同年末に、牧場の売店で、5ミリほどに刻んだエチゼンクラゲ入りのアイスクリームを1個300円で販売したところ「ぷつぷつとした歯応えがナタデココのようでおいしい」と口コミで評判に。当初は冬季限定品だったが、年間3000個を売り上げ、昨年から通年で販売している。
高級食材に
北海道では、狩りで捕獲した野生動物を調理するフレンチのジビエ料理をヒントに、急増するエゾシカを特産品として売り出す取り組みが広がっている。
10年ほど前からエゾシカによる農林業被害や交通事故が急増。行政が捕獲による個体数管理を行ってきたが、捕ったシカの処理が問題になり、猟師らで組織する社団法人「エゾシカ協会」がジビエ料理に着目した。
「欧米でシカ肉は高級食材。シカ肉の価値を高めれば、シカと道民は共生できる」と同協会事務局長の井田宏之さん。
2年前には捕獲したシカを衛生的に処理するためのマニュアルも策定。安全なシカ肉の供給が始まり、道内のレストランでは、ジビエ料理だけでなく、焼き肉やどんぶり、そばなど、幅広いエゾシカメニューが人気を集めている。
出典:MSN産経ニュース
ブラックバスにブルーギル、エチゼンクラゲにエゾシカ…。個体数が増え、漁業や農業に悪影響を及ぼす有害な生き物を、食材として活用する取り組みが各地で広がっている。メニューはハンバーガーなどファストフードから、本格フレンチのジビエ料理まで。気になる味も好評のようだ。
ハンバーガー
ため池などで繁殖し生態系を脅かしている外来魚のブラックバスやブルーギルをハンバーガーにしたのは、福井大教育地域科学部准教授の保科英人さん(35)。
専門は昆虫学。里山環境保全の一環として、平成16年から県内のため池に生息する外来魚の分布を調査し、これまでに調べた約300カ所のうち25%の池で外来魚が生息しているのを確認した。
捕った外来魚が利益になれば、漁業者も駆除しやすいだろうと、商品化を思いついたという。
パテにはブラックバスとブルーギルの魚肉を7割と牛肉のミンチを3割使用。トマトとレタスをパンで挟み、「環境」を意識して「エコバーガー」と名付けた。昨年12月、学内の生協で1個150円で売り出すと、8日間で110個を完売。保科さんは「ブラックバスやブルーギルは、キスやスズキのようにクセがなく、普通においしい」とアピールする。
アイスクリーム
日本海沿岸の定置網に入り込み、水揚げされた魚を傷つけるエチゼンクラゲを具材にしたアイスクリームも人気だ。
販売しているのは、乳製品会社「丹後ジャージー牧場」(京都府京丹後市)。平成18年秋に京都府唯一の水族館「丹後 魚知(うおち)館」の吉田史子館長が「エチゼンクラゲを食べて退治できないか」と提案し、同社が商品開発に乗り出した。
「とにかく生臭さを取り除くのが大変でした」と同社の平林文子さん(59)。酢や日本酒、シロップにつ
けても臭みがとれず、試行錯誤の末、牛乳につけてにおいを消すことに成功した。
同年末に、牧場の売店で、5ミリほどに刻んだエチゼンクラゲ入りのアイスクリームを1個300円で販売したところ「ぷつぷつとした歯応えがナタデココのようでおいしい」と口コミで評判に。当初は冬季限定品だったが、年間3000個を売り上げ、昨年から通年で販売している。
高級食材に
北海道では、狩りで捕獲した野生動物を調理するフレンチのジビエ料理をヒントに、急増するエゾシカを特産品として売り出す取り組みが広がっている。
10年ほど前からエゾシカによる農林業被害や交通事故が急増。行政が捕獲による個体数管理を行ってきたが、捕ったシカの処理が問題になり、猟師らで組織する社団法人「エゾシカ協会」がジビエ料理に着目した。
「欧米でシカ肉は高級食材。シカ肉の価値を高めれば、シカと道民は共生できる」と同協会事務局長の井田宏之さん。
2年前には捕獲したシカを衛生的に処理するためのマニュアルも策定。安全なシカ肉の供給が始まり、道内のレストランでは、ジビエ料理だけでなく、焼き肉やどんぶり、そばなど、幅広いエゾシカメニューが人気を集めている。
出典:MSN産経ニュース
古都・鎌倉を駆ける 人力車をひいて25年
古都・鎌倉を駆ける 人力車をひいて25年
左手を前、右手を脇に添え、かじ棒をすっと引き上げる。目の位置が30センチほど高くなるだけで、座席から見る風景の印象が一変する。
「それでは参ります」
滑るように人力車が走り始める。走行中、座席が上下に揺れることは、まったくといっていいほどない。車を引く青木登(59)の腰の位置がぴたっと決まっているからだ。
「かじ棒が地面と平行に移動しないと揺れてしまう。何年もやって体で覚えていく以外にありません」
鎌倉の中心・鶴岡八幡宮からまっすぐ海に向かってのびる若宮大路、観光客でにぎわう小町通り、その奥にたたずむ小さな路地。古都・鎌倉の歴史と文化から通り過ぎたばかりのレストランの最新グルメ情報まで、さりげなく紹介しながら人力車は進む。青木にとってはこの四半世紀、走り続けてきた道だ。
鎌倉の観光人力車の草分けである「有風亭」青木登の平成20年は二重の意味で節目の年となる。サラリーマン生活に見切りをつけ、鎌倉で人力車を引き始めて今年で25年。3月の下旬には還暦の誕生日を迎える。
いまでこそ鎌倉は人力車であふれているが、青木が昭和59年の元日に開業するまで、鎌倉どころか、東日本を見渡しても観光人力車などなかった。前年の夏、雑誌で読んだ記事を頼りに岐阜県高山市、愛知県犬山市、岡山県倉敷市の先輩業者の操業ぶりを見て回り、人力車一台を購入して10月から北鎌倉の円覚寺前に待機した。
「幼稚園に子供を送り迎えするお母さんたちに声をかけ、乗ってもらいました。教えてくれる人などいません。重い人、軽い人、走って覚えるしかなかった。12月31日までは自分で決めた研修期間なので、料金はいただきませんでした」
サラリーマン時代から鎌倉が好きでしばしば遊びに来た。
三方を山に囲まれ、南は海。「母の膝(ひざ)に抱かれるような」とも称される空間に老舗と最先端の店舗が同居する。古い歴史と文化の蓄積が新しいものを生み出すおもしろさ。桜、紫陽花(あじさい)、海、紅葉。四季の移り変わりが常に新しい表情を見せる。
「長く住めば愛着が出てくるし、町の人たちからも愛着を持ってもらえるようになる。年ごとに入ってくる風が違う。もっとも、鎌倉は認識してもらうのに幾分、時間がかかるかな。最近、やっと入れたかなという感じ。20年目くらいから風景のひとつとして町にとけ込めるようになりました」
最初は、商店街を走っていると迷惑そうな視線を浴びることもあった。いまはあちこちから「青木さん」と声がかかる。
「貯金もほとんどなしに脱サラしたので、最初の年は午後6時から11時まで大船の喫茶店でアルバイトをして食いつなぎました。昼の売り上げは食事代。夜のアルバイトで家賃を払う。そんな生活でした」
苦境を救ったのは結婚式だった。町を走る人力車を見て、鎌倉出身の花嫁が「あれに乗って式をあげたい」と青木に連絡してきた。
鎌倉の中心軸である若宮大路には、鶴岡八幡宮から南に800メートルほど、道路中心部に盛り土をして一段高くなった歩道がある。段葛(だんかずら)。寿永元年(1182)、源頼朝が妻・政子の安産を祈願して造営させたという参詣道だ。
頼朝が征夷大将軍となり、昭和の受験生が「イイクニ」とおぼえたあの1192年より10年も前につくられた中世の道。それがいまも使われている。若宮大路に面した結婚式場・鶴ケ岡会館から鶴岡八幡宮までは400メートルほど。この間の往復を人力車で、と希望するカップルは年々、増え、いまでは年間約300組にもなる。
新婚の2人を乗せた人力車が段葛脇の車道を進む。歩道の観光客から「わあ、きれい」「おめでとう」と祝福の言葉。桜の季節になれば、花びらがはらはらと新郎新婦に降りかかる。
花嫁の夢は、新たな鎌倉風景を生み出すとともに、青木にも安定的な収入の機会をもたらすことになった。
鎌倉に急に観光人力車があふれ出してきたのは7年前のことだ。新規参入業者の強引な客引きが目立ち、警察や市役所に苦情が相次いだこともある。
それとは対照的に、個人営業の青木とその弟子・有風亭飛車の屋号を持つ清水謙次の人力車は客引きをしない。電話予約と市内の所定スポットでの待機。客から声がかかるのを静かに待つ。目先の利益だけに振り回されることなく、地元の人たちとの長い付き合いを重視する。これが青木のポリシーだ。
鎌倉は一度も天皇の都であったことはない。それでも「武家の古都」として2010年(平成12年)の世界遺産登録を目指し、準備を進めている。東京五輪が開かれた昭和39年、鶴岡八幡宮の裏山の宅地開発に反対して起きた御谷(おやつ)騒動と呼ばれる自然保護運動が古都保存法制定のきっかけとなった歴史があるからだ。
現在も若宮大路沿いの建築物は実質的に高さ15メートル以下に制限するなど景観の保護に力を入れている。青木の姿勢は、そうした「まちづくり」のモデルとも一脈、通じるところがある。
60歳になる青木の次の目標は70歳まで人力車を引くこと。かつて人力車で挙式した花嫁の娘さんに、親子2代の花嫁として人力車で式を挙げてもらう。そんな夢もある。
青木は週2回、仕事の前に鎌倉旧市街を囲む山道を走り、さらに週2回、体育館で筋力トレーニングに励む。鎌倉の良さをできるだけ多くの人に伝え、2つの夢がかなうまで現役でいるためだ。
出典:MSN産経ニュース
左手を前、右手を脇に添え、かじ棒をすっと引き上げる。目の位置が30センチほど高くなるだけで、座席から見る風景の印象が一変する。
「それでは参ります」
滑るように人力車が走り始める。走行中、座席が上下に揺れることは、まったくといっていいほどない。車を引く青木登(59)の腰の位置がぴたっと決まっているからだ。
「かじ棒が地面と平行に移動しないと揺れてしまう。何年もやって体で覚えていく以外にありません」
鎌倉の中心・鶴岡八幡宮からまっすぐ海に向かってのびる若宮大路、観光客でにぎわう小町通り、その奥にたたずむ小さな路地。古都・鎌倉の歴史と文化から通り過ぎたばかりのレストランの最新グルメ情報まで、さりげなく紹介しながら人力車は進む。青木にとってはこの四半世紀、走り続けてきた道だ。
鎌倉の観光人力車の草分けである「有風亭」青木登の平成20年は二重の意味で節目の年となる。サラリーマン生活に見切りをつけ、鎌倉で人力車を引き始めて今年で25年。3月の下旬には還暦の誕生日を迎える。
いまでこそ鎌倉は人力車であふれているが、青木が昭和59年の元日に開業するまで、鎌倉どころか、東日本を見渡しても観光人力車などなかった。前年の夏、雑誌で読んだ記事を頼りに岐阜県高山市、愛知県犬山市、岡山県倉敷市の先輩業者の操業ぶりを見て回り、人力車一台を購入して10月から北鎌倉の円覚寺前に待機した。
「幼稚園に子供を送り迎えするお母さんたちに声をかけ、乗ってもらいました。教えてくれる人などいません。重い人、軽い人、走って覚えるしかなかった。12月31日までは自分で決めた研修期間なので、料金はいただきませんでした」
サラリーマン時代から鎌倉が好きでしばしば遊びに来た。
三方を山に囲まれ、南は海。「母の膝(ひざ)に抱かれるような」とも称される空間に老舗と最先端の店舗が同居する。古い歴史と文化の蓄積が新しいものを生み出すおもしろさ。桜、紫陽花(あじさい)、海、紅葉。四季の移り変わりが常に新しい表情を見せる。
「長く住めば愛着が出てくるし、町の人たちからも愛着を持ってもらえるようになる。年ごとに入ってくる風が違う。もっとも、鎌倉は認識してもらうのに幾分、時間がかかるかな。最近、やっと入れたかなという感じ。20年目くらいから風景のひとつとして町にとけ込めるようになりました」
最初は、商店街を走っていると迷惑そうな視線を浴びることもあった。いまはあちこちから「青木さん」と声がかかる。
「貯金もほとんどなしに脱サラしたので、最初の年は午後6時から11時まで大船の喫茶店でアルバイトをして食いつなぎました。昼の売り上げは食事代。夜のアルバイトで家賃を払う。そんな生活でした」
苦境を救ったのは結婚式だった。町を走る人力車を見て、鎌倉出身の花嫁が「あれに乗って式をあげたい」と青木に連絡してきた。
鎌倉の中心軸である若宮大路には、鶴岡八幡宮から南に800メートルほど、道路中心部に盛り土をして一段高くなった歩道がある。段葛(だんかずら)。寿永元年(1182)、源頼朝が妻・政子の安産を祈願して造営させたという参詣道だ。
頼朝が征夷大将軍となり、昭和の受験生が「イイクニ」とおぼえたあの1192年より10年も前につくられた中世の道。それがいまも使われている。若宮大路に面した結婚式場・鶴ケ岡会館から鶴岡八幡宮までは400メートルほど。この間の往復を人力車で、と希望するカップルは年々、増え、いまでは年間約300組にもなる。
新婚の2人を乗せた人力車が段葛脇の車道を進む。歩道の観光客から「わあ、きれい」「おめでとう」と祝福の言葉。桜の季節になれば、花びらがはらはらと新郎新婦に降りかかる。
花嫁の夢は、新たな鎌倉風景を生み出すとともに、青木にも安定的な収入の機会をもたらすことになった。
鎌倉に急に観光人力車があふれ出してきたのは7年前のことだ。新規参入業者の強引な客引きが目立ち、警察や市役所に苦情が相次いだこともある。
それとは対照的に、個人営業の青木とその弟子・有風亭飛車の屋号を持つ清水謙次の人力車は客引きをしない。電話予約と市内の所定スポットでの待機。客から声がかかるのを静かに待つ。目先の利益だけに振り回されることなく、地元の人たちとの長い付き合いを重視する。これが青木のポリシーだ。
鎌倉は一度も天皇の都であったことはない。それでも「武家の古都」として2010年(平成12年)の世界遺産登録を目指し、準備を進めている。東京五輪が開かれた昭和39年、鶴岡八幡宮の裏山の宅地開発に反対して起きた御谷(おやつ)騒動と呼ばれる自然保護運動が古都保存法制定のきっかけとなった歴史があるからだ。
現在も若宮大路沿いの建築物は実質的に高さ15メートル以下に制限するなど景観の保護に力を入れている。青木の姿勢は、そうした「まちづくり」のモデルとも一脈、通じるところがある。
60歳になる青木の次の目標は70歳まで人力車を引くこと。かつて人力車で挙式した花嫁の娘さんに、親子2代の花嫁として人力車で式を挙げてもらう。そんな夢もある。
青木は週2回、仕事の前に鎌倉旧市街を囲む山道を走り、さらに週2回、体育館で筋力トレーニングに励む。鎌倉の良さをできるだけ多くの人に伝え、2つの夢がかなうまで現役でいるためだ。
出典:MSN産経ニュース
登録:
投稿 (Atom)