お役所で出会うご当地味──公共施設の食堂巡り
知らない土地でもし食事の場所に困ったら、一度役所や公共施設の食堂に入ってみてはいかがだろう。魅力は学生食堂同様の気軽さと安さだけではない。その土地の味や優れた眺望など様々な楽しみがある。
関西で他府県に出かけたら、ご当地グルメを味わおう。手っ取り早いのが、県や市など役所の食堂。道順を尋ねれば誰もが知っているから、迷うこともない。
奈良県の荒井正吾知事の発案で、県庁食堂に昨秋登場したのが「大和肉鶏親子丼」(650円)。近隣の飲食店でも「大和肉鶏照り焼き丼」などのメニューを見かけるが、親子丼は珍しい。地鶏だけでなく卵や米、しょうゆまで地元産にこだわった一品だ。
「何度か試食し、そのたびに注文を付けた。おいしくできたね」と荒井知事は満足そう。注文に応えた同食堂の上田充利主任は「地鶏特有の歯応えを生かしつつ、柔らかさも出した」と話す。
滋賀県庁の食堂「かいつぶり」にも、昨年夏に新メニューが加わった。琵琶湖の生態系に影響を与える外来魚のブラックバスを使った料理(260―300円)だ。「味に少し癖のあるスズキと思えばいい。うまく調理すればおいしい。ブラックバスを食べ尽くそうという趣旨」(同食堂)。週替わりでムニエル、ピカタなど様々な調理法を試していくという。
兵庫県庁の食堂「のじぎく」にも人気のご当地グルメがある。その名も「ぼっかけ丼」(680円)。牛すじ、こんにゃくなどを甘辛く煮た「ぼっかけ」は神戸市長田区の名物。うどんやお好み焼きが定番だが、ここではご飯にぼっかけと温泉卵がのる。
京都府舞鶴市役所の食堂「ニュー567(ごろな)」では、地元特産の牡蠣(かき)を入れた「舞鶴かき丼」(850円)が人気を集めている。「味付けは牡蠣を入れた親子丼といった感じ」(同食堂)。季節メニューで3月末ごろまで食べられる。
高層庁舎を持ち、展望レストランを一般開放している役所もある。有名なのは神戸市役所の展望レストランだが、穴場は大阪府東大阪市役所。22階の「オールウェイズ」は生駒山などが見渡せる絶好の立地で、夜間も営業しているため夜景も楽しめる。
瀬戸内海に臨む兵庫県明石市役所の「シーフード浦活(うらかつ)」も明石海峡を見渡せる眺望と明石タコやアナゴなどの料理で人気が高い。
美術館など公共施設にも人気店や人気料理が少なくない。定番と言えるのが、大阪市役所近くの大阪市中央公会堂にある中之島倶楽部のオムライス(680円)。ランチタイム200食限定で、行列ができる。
同じ中之島にある国立国際美術館には、著名なフランス料理シェフの石鍋裕氏がプロデュースするレストラン「クイーン・アリス アクア」もある。美術館の館外からも気軽に入れてお勧めだ。
出典:日経ネット関西版