「世界の食百選」に京の今井さん 米料理誌、おばんざい復興を評価
米国の二大グルメ誌の一つとされる雑誌「SAVEUR」が選ぶ「世界の食百選」に、このほど京都市右京区の料理研究家、今井幸代さん(73)が選定された。毎年1回、食の分野でその年最も関心を集めた人や物、地域を計100点選び出すもので、ランクインは米国の飲食業界で非常に権威があるという。
同誌の関係者によると、今井さんが「百選」に推薦されたのは、長年にわたるおばんざい料理復興に関する活動に関して。京都の伝統料理であるおばんざい料理を次代に残そうと、35年もの間、自宅などで料理教室を開講。おばんざいや郷土史に関する著書を多数発表しているほか、料理の苦手な人でも手軽におばんざい料理が再現できるよう、一つのフライパンで5-6種類のメニューが仕上がる調理法を考案したことでも知られている。
「百選」は、今年1-2月号に掲載された。おばんざい料理を「地元食材をかつお節とコンブのスープで煮込んだ簡素で健康的な料理。京都料理の魂であり、昔ながらの民間療法でもあるが、現代日本の家庭からは失われつつある」と説明。その上で、地域文化としてのおばんざいの復興を目指す今井さんに「彼女のあらゆる努力に対して敬意を表したい」とエールを送っている。
今井さんは「毎月8日はアラメ、21日はヒジキといった具合に、おばんざい料理では人間の新陳代謝のサイクルに合わせた食材を使う。先人の知恵と工夫に満ちたこの食文化を、使命感を持って後世に伝えていきたい」と話している。
出典:京都新聞