2008年2月15日金曜日

中学校の歴史 奈良の貴族はかなりグルメ

中学校の歴史 奈良の貴族はかなりグルメ

 料理を通じて奈良時代の暮らしがわかる――。東京書籍は02年から、中学歴史の教科書に、17種類の料理が並ぶ豪華な貴族の食事と、野菜や山菜などが入った汁、玄米、塩といった質素な庶民の食事を載せている。担当者は「身近な食べ物から、貴族と庶民の暮らしを比較して欲しい」と狙いを語る。 料理は奈良文化財研究所が展覧会のために復元した。史料研究室の渡辺晃宏室長によると、天武天皇の孫「長屋王(ながやおう)」の邸宅跡から見つかった木簡などでわかった食材を使い、伝承料理研究家が当時の調理法を想像して再現したという。貴族の食卓には、ハスの実入りのご飯をハスの葉で包んだもの、焼いたアワビやエビ、牛乳に甘味を加え、加熱して固めた「蘇(そ)」、サケのなます、中国から伝わったナスのおひたし、ゆでた野菜などが並ぶ。

 サケは山陰地方が主産地。カツオは静岡県から荒干のほか、煮汁が運ばれ、調味料として重宝された。アワビは海藻で巻いたり酢でしめたり、と加工法や調理法も様々。奈良の貴族はかなりグルメだ。

 一方、庶民や下級役人は一汁一菜が基本。木簡には「おかずが配給されない」といった下級役人の嘆きも記されている。

 渡辺さんは「復元メニューの裏に、人間らしい心の動きがあったことを想像して、今日のご飯を食べると、歴史が生き生きしてきますよ」。

出典:朝日新聞